おんなのこがたり

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 宇野とは一年生のとき同じクラスだったけど、正直、たっちゃんはこいつのどこが格好いいと言うのかわからない。宇野は馴れ馴れしくて無神経で、それからアホだ。運動神経がいいらしく、陸上部で活躍しているらしいけど、知らないし興味もない。背がずば抜けて高いのは、見下されているようで嫌だ。声がやたら大きいのも好きじゃない。たっちゃんはあたしの好きな男の子の要素を全部つめこまれているけど、宇野はあたしの嫌いな男の子の要素を全部つめこんだ感じだ。なのにこいつは女子にモテる。一年生のときは二人に告白されていて、二年生になってからは一学期だけで三人に告白されている――らしい。ともかく、そんな噂がたつほど、宇野はモテる。しかも、あたしの好きなたっちゃんにも好かれている。まったく、気に食わない。 「な、桑田」  あたしの思いも知らず、宇野は陽気に話しかけてくる。 「何?」  できるだけギスギスしないように、細心の注意をはらって返事をした。すると宇野は、信じられないようなことを口にする。 「今日、部活ないしさ、一緒に帰んねぇ?」
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