11人が本棚に入れています
本棚に追加
宇野はヘラヘラしながら、事も無げに言った。その表情が好奇の表れなのか、たっちゃんに対する侮辱なのか、または全く違う意味を持つのか、あたしには分からない。そういえば、あたしは宇野の、この表情が読みづらい所も嫌いだった。
「宇野は、そういうのどう思う?」
思い切って、そう訊いてみる。
気持ち悪い。やめてほしい。ワケが分からない。そんな言葉がもし宇野の口から出たら、あたしはもう二度とたっちゃんを宇野に近づけない。たっちゃんが何を言おうと、絶対。尋ねる前にそう決めていた。
宇野はあたしの質問に、すぐには答えなかった。左手を口元に当てて、少し目を伏せて、見た目は言葉を放つのをためらっているようだ。彼はしばらく黙っていたけれど、やがて顔をパッと明るくして口を開く。
「……うーん。いいと思うよ、ああいうの」
あたしは、宇野のそのあっけらかんとした様子に、拍子抜けした。嘘はついてないと思う。多分。
何、宇野って結構いいやつだったの? ふと、そんなことを思ってしまう。だけどあたしは、急いでそんな考えを頭から締め出した。
「なんで?」
最初のコメントを投稿しよう!