其之一 獣

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父は軍の英雄だったー。 少女の名は"渚ゆりな"。 軍人である父の影響から戦場では銃火器を使い熟す少女ゆりなは、その年齢に見合わず達観しており、少し大人びていた。 髪型は実用性を重視してオールアップにする事が多く、服装も動き易さ重視で選び、同世代女子とは一線を画している。 その他にも、父からは戦場での心得を多く学んだ。 "勝つ事よりも生き残る事を重視しろ" それが父の遺した最期の言葉だった。 それは、いつものような戦場での心得だったのか、はたまた父として娘に伝えたかった想いだったのか、今となってはわからない。 父の戦死をきっかけに、ゆりなは帰国子女として祖国日本へと帰還し、普通の高校生となった。 普通に通学し、普通に勉強し、普通に単位を気にしたり、普通にテスト勉強をしたり……そんな普通の生活が、ゆりなにとっては退屈で仕方なかった。 身体能力は、男子含む同世代の中では郡を抜き、勉強に関しても戦場では咄嗟の判断力を求められる状況も多かった為に頭の回転が早く、飲み込みも早かった。 そんな中でも決して平和ボケをしない為にも、ゆりなは日頃からトレーニングを欠かさなかった。
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