2.運命≠必然

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自宅に到着し、着替えを済ませる。 汚したスカートを手にとったとき、硬い感触があった。 怪訝に思いポケットに手を入れると、豪華な指輪が入っていた。 「……なに、これ?」 見覚えのないものに、思わず声が漏れる。 宝石類に疎い私でも、指輪に施されている装飾や石類は高価だろうと予測できる。 中心で輝きを放つのは大きめのダイヤモンドで、その周りにも細かなダイヤモンドがびっしり埋め込まれている。 このスカートは昨夜クリーニングから戻ってきたばかりだし、どこかでポケットに入ったとしか考えられない。 「……もしかして……今朝ぶつかった人の?」 朝からの記憶を辿るが、今日は仕事での外出もなく、やはりあの女性しか思い当たらない。 どうやって返せばいいの? 連絡先はおろか名前も知らない。 きっと今頃、困って探し回っているのではないだろうか。 悩みに悩んで、明日できるだけ早く警察に届けようと決めた。 土曜日の朝、朝食を終えて身支度を整える。 デートする恋人もいない私は、いつも週末にまとめて日用品や食料品の買い出しに出かけている。 恋愛に興味はあるけれど、社会人になってすぐ付き合い始めた人とは、休日が合わず時間がすれ違い、段々と心の距離が離れ別れてしまった。 私なりに積極的に会う時間を取っていたつもりだったが、元恋人には物足りなかったらしい。
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