13.手を繋いで

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「……返事をくれるか? この指輪をお前にはめたいんだ」 綺麗な二重の目が少し不安そうに揺れている。 今でもたまに見惚れそうになる端正な面差しを、真っ直ぐに見つめ返す。 なにもかも完璧で優秀すぎるこの人に望まれるなんて、夢のようなのに。 私のほうこそ、ずっと一緒にいてとお願いしたい。 伝えたい想いはたくさんあるのに、心が震えてうまく声が出ない。 あふれ出る恋心は、こらえきれなくなった涙とともにこぼれ落ちる。 「彩萌?」 彼が名前を呼んでくれるのが好きだ。 抱きしめてくれる腕も、少し高めの体温も、本当は少し寝起きが悪いところも、なにもかもすべてが愛しい。 出会えたのが幸せなのは、きっと私のほうだ。 「……泣くな」 キスで涙を拭ってくれる仕草に、どれだけ心を揺さぶられているか、あなたは知らないでしょう? 「あなたを、愛してる……これからもずっと、一緒にいてください」 必死に押し出した声は掠れている。 けれど彼は鮮やかな笑顔を向けてくれた。 ああもう、“愛している”以上の気持ちを表現する言葉はないのだろうか? 私の左手薬指に輝く指輪をはめてくれた彼が、指に口づける。 愛しさと切なさがまざって、涙が止まらない。
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