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「泣きすぎ……薫が心配しているぞ?」
「誰のせい……!」
「俺だな」
ハハッと白い歯を見せる。
「なあ彩萌、今すぐじゃなくていい。仕事復帰をして薫ももう少し大きくなったら三人で新婚旅行に行こう。そして三人だけで結婚式を挙げよう」
「でも、あんなに豪華な結婚式を……」
「彩萌の希望の詰まった、俺たちだけの結婚式を挙げて新婚旅行を楽しみたい」
私の体を引き寄せ、胸の中に閉じ込めて耳元で甘くささやく。
きっと私の意見が反映されていなかった点を気にしてくれているのだろう。
どこまでも優しく思いやり深い彼に胸の奥が熱くなる。
幸せな涙はまだ止まりそうにない。
「俺のもうひとつの我がままを聞いてくれないか? 叶えられるのは彩萌しかいない」
妖艶な眼差しを向けられて、鼓動がひとつ大きな音を立てる。
ああ、本当にこの人には敵わない。
私の希望をも自分の我がままだと言い切ってしまう、素敵な愛しい旦那様。
「私の我がままを叶えてくれるのは、あなたしかいないわ」
背伸びして頬にキスをすると、瑛さんは眦を下げる。
「愛してるよ」
「私も愛してる」
「うーうー!」
私たちの愛しい息子が自分も!と言わんばかりに手を上げる。
これから先もずっと、お互いの我がままを叶え続けていけますように。
微笑んで目を合わせた私たちは薫を抱き上げた。
END
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