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「ご、ごめんなさい。変な意味ではなくて、その……魅力的な方々からきっと引く手あまただろうと……」
ああもう、穴があったら入りたい。
ハイスペックな上に、超がつくほどのイケメンを伴侶に望む女性は大勢いるに決まっている。
私が選ばれたのは、しきたりと条件に合致しただけ。
「気乗りしないうえに、うんざりする内容の縁談ばかりだがな」
あけすけな物言いに、瞬きを繰り返す。
瑛さんは、口数は多くないが正直だと思う。
取り繕ったり、下手な慰めもせず、事実のみを淡々と口にする。
あまり動かない表情は面差しが整いすぎているせいか、緊張する。
けれど言葉の端々に、時折気遣いのような小さな優しさが滲んでいる。
好意は持っていなくとも、契約相手として少なからず認めてくれている?
ほんの少し頭をよぎった甘い考えを、必死で打ち消す。
私たちはお互いの条件を満たすために、ここにいる。
いくら守ると言われたとはいえ、鵜呑みにして寄りかかってはダメだ。
「そろそろ行くぞ。お前は堂々と笑っていろ」
そう言って、車を降りた彼が手を差し出す。
一瞬だけグッと唇を噛みしめ、大きな手を握り返した。
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