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「す、すみません」
「倒れてから今までずっと寝ていたんだ。急に動くな」
衝撃的な情報に目を見開く。
あれから、ずっと?
「倒れたときのことは覚えているか?」
「は、い。あの、看病をしていただいて申し訳ございません」
「さっきも言ったが、謝るな」
「でも……」
居たたまれなさにうつむきかけた私の頬を、瑛さんが両手で包んで掬い上げる。
「俺の判断と意思だ……着替えもな」
「きっ……着替えって……」
再び熱を持ち始めた私の頬を、彼が楽しげに見つめる。
「布団を恐々めくる姿は可愛かったぞ?」
「み、見ていたんですか!?」
私の質問に目を細める。
「さすがに病人を抱く気はないから、安心しろ」
しれっと告げられ、即座に反応できず、唇を開け閉めする。
「お前の体調が回復したら、そうも言ってられないが」
「え?」
突如ガラリと変わった怪しい雰囲気に、思わず間抜けな声が漏れる。
妖艶な眼差しを向けられ、息を呑んだ。
頬から手を離した彼が、素早く私の腰を引き寄せる。
「遠慮なく、抱く」
形の良い唇を耳元に寄せ、宣告する。
耳に触れた熱い吐息に、背中に甘い痺れがはしった。
「今は、これで我慢しておく」
そう言って、瑛さんは長い指で私の顎を掬う。
艶やかな髪が額に触れたと思った瞬間、唇が重なった。
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