1.夢見る結婚式

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その後、初夜を迎えるため用意された豪華なスイートルームへと移動した。 恐る恐る部屋に足を踏み入れる。 入り口のドアが閉まった途端、彼にバスルームに押し込まれ入浴するように言われた。 ドレスの背中部分にある、幾つものホックや結び目は大きな鏡を確認しながらでも、なかなかほどけない。 本来は新郎に優しく外してもらうようだが、そんな助力は頼めない。 部屋に向かう途中ですら、会話もなく、目も合わなかったのだから。 ひとりになると急に疲れを感じて、磨かれた冷たい床にぺたりと座り込んだ。 幾重にも折り重なるドレスの裾のおかげか足も冷えず、痛くない。 豪奢なドレスを脱ぐまで、どれだけ時間がかかるだろう。 強く引っ張られ結い上げられた髪のせいか、頭がズキズキと痛む。 まだ半分も外れていないホックを、恨めしげに鏡越しに見ると、ドアが軽くノックされた。 ビクッと反射的に立ち上がれば、サラサラとドレスが衣擦れの音を立てる。 「……水音が聞こえないが、まだシャワーを浴びていないのか?」 ドア越しに訝しむように尋ねられ、慌てて声を出す。 「す、すみません。あの、私は後で入りますから……よかったら先にどうぞ」 「は? 今までなにをしていたんだ?」 不機嫌そうな声に返答に窮する。 ……ドレスが脱げない、なんて言えない。
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