4.愛のない同棲開始

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「――彩萌。返事を」 なんで、そんな言い方をするの?  無理強いしても、私に文句を言う資格はないとわかっているでしょう? なのに、キスや触れる指も、キツイ言葉とは裏腹にとても優しくて……この人の手を、本気で振り払いたいと思えずにいる。 揺れ動く自分の気持ちが、理解できない。 「答えないなら……抱くぞ」 耳元近くで甘く宣言され、背筋に痺れがはしる。 答えの代わりに、彼の首に恐る恐る腕を回す。 ほんの一瞬、瑛さんが体を強張らせたのがわかった。 「……体がつらかったら、言えよ」 抱くと宣言したのに気遣われ、緊張が少しだけほぐれた。 私の体にゆっくと腕を回す。 「あの……シャワーを……」 最低限の希望を、なけなしの勇気を振り絞って伝える。 「必要ない」 「ず、ずっと眠っていて、汗をかいているので!」 「後にしろ。俺は気にしない」 必死の主張はあっさり受け流された。 私は気にすると、どうしたら理解してもらえるの? 「もう、黙れ」 後頭部に大きな手が回され、強引に口づけられる。 激しく荒々しいキスは、最初だけだった。 突如始まった行為に動揺する私をなだめるかのように、優しく髪を撫で、舌先で私の唇をゆっくりたどっていく。 「ふっ……ん」 ほんの少し唇を離した彼が、妖艶な眼差しを向ける。 「可愛いな……」 独り言のように微かにつぶやく。
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