1.夢見る結婚式

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「……俺たちは夫婦になったんだ。できないことはきちんと言え」 つぶやいて、再び私の体を反転させる。 「すみません……あ、ありがとうございます」 背中はむき出し、抱えているドレスが落ちたら下着姿、というあられもない状態が恥ずかしい。 うつむいて礼を告げると、長い指に顎を掬われた。 至近距離に迫る美麗な面差しに、鼓動が一気に暴れだす。 「敬語に戻ってる」 吐息が触れそうな距離で指摘され、口づけられた。 強引な仕草とは裏腹に、触れる唇はとても優しい。 あやすように上唇、下唇を順に甘噛みされ、最後にもう一度しっかり唇を重ねた後、顎から指を外す。 「体を冷やすな」 そう言い残して、彼がバスルームから出て行くと、力が抜け、床に座り込んでしまった。 その後、なんとか入浴を終えた私と交替で、彼がバスルームに向かった。 緊張をほぐそうと、着替えたドレスをクローゼットにかけ、皺をのばす。 さらに窓から見える綺麗な夜景に無理やり意識を向ける。 けれどまったく効果はなく、身に着けたバスローブの襟元をギュッと強く握りしめた。 結婚が決まり、同棲が始まった当初から何度もキスをされ、全身に触れられているのに。 そのたびに、戸惑い、緊張し、切なさに涙をこぼしてばかりだ。
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