追われる 和夫

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  ・・ア・・ナ・タ・・  目を開けると裕子が手を握り 涙が手に零れ落ち濡れていた  裕子の後ろに井上の姿も見え 白い天井が和夫を目覚めさせた 「寝てた?」  起き上がろうとして 体の節々の痛みに思わず呻きを上げ  裕子が慌てて 体を支えて呉れ スナックへ飛び込んで来た車に はねとばされて 頭を打ち 病院に搬送され 2週間 昏睡状態だったと聞かされた ママはと聞くと お店は壊れたが ママとお客様は奥の席にいて  無事だったと お店が壊れたことを機に ママは お店を閉め その後の消息まではと 裕子が言ってきて  和夫は天井を見つめ ママと初めて手を握った時の 感触を 思い出そうとしていた 裕子と話している時 白衣を着た医師が病室へ入って来て  聴診器を取り出し胸に宛て ライトを和夫の目に当てると 顔を右左と動かして 明日細かな検査をしましょうと  裕子に会釈をすると出て行った  翌日和夫は車いすに乗せられ 幾つもの検査を受け 後1週間ほどは入院しているようにと言われ  裕子に パソコンを持って来て貰い  ベッドの上で 陽菜達の追記を仕上げ  連載の続きも 仕上げて行った  夢の中で家に帰った時 書いたものが 残って居るかと 密かに思っていたが 残念な事に保存を幾ら探しても かけらも無く 和夫は少しづつ 思い出して 寺田夫妻の後半の人生を描き始め 約束通り借金を返済し  新しく工場を再建し  郁代の手綱の下で 健司は伸び伸びと仕事に精を出し  幸せな夫婦生活を 送れるように書き終わらせて 井上を呼び 自分の作品の追記を頼んだ 井上は最初出版されたものはと 難色を示したが  和夫の言葉に最後は従って呉れ  陽菜は無事に高校を卒業して 大学生と成り恋愛を経験する人生を歩み始め  恵美と麻美は4人の男達との関係から  二人の男が 麻美と恵美の夫と成り 残る二人の男達の 彼女たちとの絡みを入れ  4組の乱交と スワッピングを入れた上下巻の作品に変わって行った 咲良と綾乃そして 愛美も約束通りに 好きな男性を 登場させる事で 幸せな結婚を果たさせることが出来 裕子は毎日和夫の病室へ来て 枕元で黙って 和夫がパソコンを叩くのを眺め 時折お茶やコーヒーを  自販機から購入して 2人で他愛無い話をしながら 飲んでいた  裕子が先週ねと 話を始めた 「家に帰って 寝ている時夢を見たのよ   貴方が夜帰って来て 私ソファーで横に成ってテレビを見て居て  お帰りなさいって言ってね」  「貴方お風呂へ入って 寝室へ行ったから 私もお風呂へ入って  貴方の横で寝たら 貴方が求めて来たの・・」 「それでね(裕子の目が光り 笑いを堪え乍ら)貴方が私の上にきて   入れようとしたんだけど 貴方じゃ無いの・・・」 「違う人なの だって大きいんだもの 私、貴方は誰?」  「聞いたら 和夫 裕子の夫そう言うのよ 違う貴方じゃ無い  私が言ったら 夢の世界だって 貴方が言うのよね・・・」  「新婚の話を 貴方が言うから信じたは だって誰も知らないことでしょう」 「それでね(裕子の目が淫靡に光り) 凄かったのよ  夢の中の貴方 私、何度も夢の中で逝ってたわ・・・」 裕子の言葉を聞いて和夫は自分の股間に触れてみた・・・・・  昔の自分の物が そこに有る事を手は教えて呉れた・・・
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