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スナック (縁とりりー)
夕飯を終え 食器を洗ってる裕子に
少し出かけて来ると言い残して
玄関を後に
駅前のスナック(縁とリリー)に向かった
15年前サラリーマン時代に酔った帰りに
初めて入り ママの美貌に
吸い寄せられ
週二三度通う様に成って居た
ママは何時もニコニコと 対応してくれ
和夫が余り酒が強く無い事も
判って居て 薄い水割りを出して呉れ
最初に逢った時 綺麗な
ママだなと 一目惚れして
下心丸出しで 口説いて撃沈した
最初に逢った時30代半ばと感じたが
年を一度訪ねた時 やんわりと
お・ん・な・に・聞かないのと
少し きつめで言われ 以後聞いた事は無い
15年経った今でも容姿が変わって無く 相変わらずの
美魔女で和夫を迎えて呉れ
薄い水割りをカウンターに出してくる
珍しく お店に他のお客様が居ない
何時もカウンターに 2人か3人
思い思いに座り 皆黙ってグラスを傾け
時折ママと 二三話すと
またグラスを傾け帰って行く
そんな静かな店だった
「ママ 」
和夫の呼びかけに ママが笑顔で振り向き
「このお店の名前って?」
和夫が訊ねると
「私 百合子って言うの 百合子にご縁で 縁とリリー」
和夫を見て微笑み ウェーブの掛かった髪を上げ
切れ長の目で和夫を見つめ
「今日はお休み?」
と聞いて来た
和夫がサラリーマンを辞め 本を書くように成って4年
サラリーマンだと ママは思っているらしい
頷いて
「珍しいね お客様居ないの」
聞くと
「たまに 空白の時間は有るは」
寂しそうに 和夫を
妖艶な目で見つめ 微笑んでくる
瞳が逢った時 和夫の後頭部を電気が流れ
頭の後ろに痺れが走った
後頭部を押さえ周りを見回したとき
ドアのベルが カランコロンと鳴り男達が入って来た
ママは男達と会話を交わし
酒を提供している
和夫は水割りを飲み
ママと男達の会話に
耳を傾け・・・・
睡魔が和夫に絡んで来た
目の前の棚の ボトルが
・・・・・揺らぎ始め・・・・・
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