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上弦の淡い月明りに青くたたずむ湖から、人魚が顔を出した。彼は尻餅をついたが。
彼女と目が合うと、彼は思わず祈った。拝んだ。そして導きを請うた。夢を追うか堅実にいくか、道を示してくださいと。
彼女の濡れそぼつ長い髪は、周りの色をすべて消すような妖しい色を放った。その瞳の左は青く、右は薄茶に月光に透けた。そうしてその視線が指した先には彼の進むべき道があった。
「ありがとう、人魚。出遭えてよかった」
彼が選んだ道で成功したのは、今や誰もが知るところなのである。
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