主人公

1/2
前へ
/132ページ
次へ

主人公

私、中川侑香は、舞台役者をしている。 サクラ川劇団というところで仲間達と切磋琢磨していて、遂に念願の主役を演じることになった。 嬉しくて嬉しくて…やっと認められた気がした… 「侑香、おめでとう」 「あの役は、ぴったりだったもんね」 「くっそぉー悔しいけど!おめでとう!」 と劇団員たちから激励をもらった。 「ありがとう、私、がんばる!!」 喜びを噛みしめていた。 すると、ある一人が言うのだ。 「そーいやさぁ、家族に主役決まったこと言わねぇの?」 家族…確かに、いることは…いる。 ただ、私の親は…妹が好きなのだ。 私のことは、見えていない… 幼いときから、服も靴も大好きなキャラクターの何かも妹が飽きた物を私が使っていた… テストで満点をとっても褒めてくれない… だから、妹が六十点をとって褒められているのをみて、私は六十点を取ってみた。 これで褒めてくれると、思ったからだ。 パンッ 初めて母に殴られた。 「アンタは、妹をバカにしているの?」 と言うのだ。父は、見てみぬフリをして咳払いをする。 その時の私は、謝ることしかできなかった。 何で私のことを見てくれないの? 頑張ってもダメ…失敗したら怒られる… 何をしたら、私を見てくれるの?とそう思ったが…諦めてしまった。 空っぽで、私は何が楽しくて生きてるの?生きるって何? 気がついたら、家を出ていた。 公園のブランコにいた。すると目の前で、髪の長い女性が紙をもって独り言?を言っている。 怖いと思って逃げようとしたら、その女性に止められる。 その人は、劇団員をしていてお稽古以外でも練習をしていたのだ。 思わず、楽しいか?と聞いたのだ。 すると、女性が私の手をとり、 「私の生き甲斐っっ!!」 と自信に溢れた目と本当にキラキラした笑顔で言うのだ。 私は、彼女に憧れた。 そして、舞台役者を目指したのだ。 「おいっおいっ中川?ゴメン、なんか変なこと言った?」 「あーゴメンゴメン!急に昔の思い出がカムバックしちゃって…家族は…忙しいから無理かな?でも!彼氏は、来てくれるんだー!」 「あっそうなの?よかったな!」 「うん!」 と笑いあった。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加