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あぁ…私は、なぜこんなにも…
「俺たち、別れないか?」
夜ご飯を食べている時に、言われた。箸を落としてしまった。
震える声を必死に隠しながら…
「なっなんで?」
「俺さ、お前より妹の方がタイプなんよ」
鈍器で殴られたような気がした。
またか…と目をつぶった。
私の好きな人は、みんな…妹に奪われていく…
そして、虚ろな目で彼に、別れを告げた。
次の日、泣き腫らした目で劇団へ行くとみんなが集まっていた。
何か揉めている。
「どういうことですか!?侑香の役よ!」
「侑香が、どんだけ頑張ってきたか座長も知ってるでしょ?」
「妹でも、やっていいこと悪いことがあるだろ…」
「うるさい!仕方ないだろ!妹の方が有名なんだから!」
「最低…」
私は、呆然とした。私の…念願の主役が…演技未経験の妹に取られてしまった…
何で…何で…必死に頑張ったのに…両手からこぼれ落ちていく。
知らない間に、膝から崩れ落ちた…
座長は、私に気付く。
「妹の事務所が強いんだ…こんな小さい劇団…すぐ潰れちまう…お詫びと言っちゃ…なんだが、これ…高級ホテルのチケットだ…
これで許してくれ…」
とチケットを握らす。
そんなもの、いらない…欲しいのは、主役…
許さない…
よくも…私を…
そうだ…妹を…本当に
夜になり、ネットで知り合った男と待ち合わせをしている。
そして男が、問う。
「どんな奴がいいの?」
「なるべく踠き苦しむ奴で…お願い…」
「ハハッ姉ちゃん、どんな人にソイツを使うの?男?」
「妹よ…」
男は、黄色い歯を剥き出して笑いだす。
「姉ちゃん、いい壊れ具合だ!ほらよっ!これ!」
と渡された。もう後戻りは、できない。
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