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独白
私は、決めた。
アテーナーロイヤルホテルで、少しうろついて隠れるということをした。
すると朝加とまりの両親が、このホテルにいることは間違いないと確信を持てるだろう…そして、教会で依頼をするのだ。私を殺せと…
そのときは、この人達に…あなた達の娘達が私にしたことを暴露しようと思う。
あとは、あの警察官が邪魔だ。計画に穴をあけそうな人物だ。そこは、スタッフさん達がしっかりと止めてくれると思う。
新井さんから電話がかかってきた。
「教会の方に、ご両親の方達がお揃いになってきましたよ!あなたを殺すそうです。」
手が震えた、それでも
「そうですか…ショーの時に、私は…ご両親の前へ出て真実を話します。」
隠れ家の部屋で、手紙を書いて口に出して読んでみた。
「私の人生は、大人になった時…どんな人生を選ぶのだろうか?やってみたいことが、たくさんあった。でも、大人になる前の選択で、人を殺すという選択肢を選んでしまった。普通なら、アイツムカつく!嫌い・恨むって言うけど、私は…その先の殺すを選んでしまった。それぐらい、あの二人が許さなくて許したくなくて…限界だった…いなくなった日から、私は最高だった。人生が甦ったと思ったぐらいだ…それも束の間、アイツらの親達がしつこかった。台無しにされた気分になった。家の包丁で…刺してやろうかと思った。でも私には、味方がいる。アテーナーロイヤルホテルの皆さんだ!私のことをみてくれるし聞いてくれる…皆さんが大好きです。私のことを大切にしてくれて…本当に…ありがとうございました。
そして、限界になっていた私を助けてくださって…ありがとうございます。」
とお礼をいい封筒に納めた。
そして、そろそろアテーナーロイヤルホテルのショーが始まる。
私は、白の襟があるワンピースを着て、エレベーターで地下へ行った。
香山は、私の方へ来て案内をしてくれる。
頼もしかった…手まで引いてくれて、嬉しい。お姉ちゃんができたみたいだ。
舞台袖のところで、様子をみている。
すると支配人の新井さんが声をかけてくれた。
「あなたは、決めてしまったのですか?
まだ引き返すことは、できますよ?いいのですか?」
とても心配そうに、言ってくれる。
充分、幸せだ。
「新井さん、私のことを助けてくれてありがとうございます。とても嬉しくて、心が何回も救われました。ホテルには、迷惑をかけません…私がきちんとはっきりさせます。」
強い目で、新井さんをみた。
新井さんは、ため息を吐きながら
「最近の若い子は、正義感が強すぎて…私…驚いちゃいました。逃げてもいいのに…こんなことを仰るなんて…」
「フフフ…新井さん、私は、頑固者なんですよ?」
「みたいですね?さあ、行きましょ!」
新井さんは立ち上がり、行ってきますと言ってステージの真ん中へ立っていた。
私は、舞台袖で見守る。
シルクハットとタキシードを着た新井さんは
「紳士&淑女の皆様!!ごきげんよう!
本日のアテーナーロイヤルホテルのショーは、スピーチでございます!おや~?お客様達、スピーチと聞いて残念そうな顔をしましたね~つまらなくないですよ?だって独白ですから!しかも、なにやらドロドロとしたエッセンスも入っている!最高ですよ~!どうです?気になってきましたか?」
観客は、歓声をあげ拍手もしていた。
左側の方から、出てきた。
「ではっこちらへ来ていただきました!北見朝加様のご両親様と井川まり様のご両親様です!では~スピーチをお願いします」
スピーチの代表で朝加の父親が話し出した。
「私達の娘達がいなくなりました。そのお友達の梅沢唯ちゃんに話をしても…体調が優れないとか泣いてしまうなど私達と話す意思がなかったと見えました。なので、何かを知っていると、尾行をしたりもしましたが何もおこらなかった…ただ朝加の部活のお友達が、修学旅行でアテーナーロイヤルホテルのショーで朝加ともう一人を殺す?とかそういうのを聞いてしまい今までの唯ちゃんの言動が全て…疑わしいものに変わりました。唯ちゃん、私達の娘は…一体どこへ行ったの?何をしたの?」
観客は、かわいそうという同情の声が聞こえてきた。
そして、新井さんは私をみながら
「続きまして、その答えをしている人物に答えを聞きましょう!梅沢唯様!こちらへ!!」
ライトを右側の方に傾けた。
そして私は、一年前ぶりに…ここへ立った。
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