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私は、久しぶりに一年ぶりに舞台へ立った。
マイクを両手で握る。
「梅沢唯です。私は、朝加とまりを…ここで…この手で殺しました。だから…捜しても、いません。」
朝加とまりの両親は、呆然としている。嘘よ、嘘だとも…と呟いたり・騒いでいる。
「なぜ私が、こんなことをしたのかを話そうと思います。まりに失望したのは、朝加と喧嘩をしている時に…私を庇うのではなく…朝加についたんです…ショックでした。あんなに仲もよかったし何でもやってこれたのに…まりは、私のことを親友と思ってくれてなかったのです。そして、この喧嘩から私を仲間外れにしようとしているのがわかり、納得がいかなかった私は、どうすれば許してくれるかと聞いたんですよ?そしたら、ずっと謝って!や友達ならこんなことしないと怒られました…私は、ひたすら謝りました。そこで朝加は、調子にのって私を奴隷のように扱ってきたんです。まりは、いつも知らない顔を決め込む…亡くなるまで、ずっとでした。辛かった…私は、この世からいなくなりたかった…でも、ここのホテルの人達が味方をしてくれたんです。盛大に・派手に・そして、殺すことも叶えてくれました。嬉しかった…本当に、一筋の光だったんです。
ご両親達からしたら、よくも娘を!!ってなりますが、私からしたら…やっといなくなってくれたっ!嬉しい!そんなことしか考えられないです!」
と息継ぎをしないで話した唯は、呼吸を荒くした。
朝加の父親が
「むっ娘は…君に…そんなひどいことを?」
唯は、泣きながらわめいた。
「あの修学旅行の時!何があったか!殺してやると思ったきっかけは、スキューバダイビングの授業で朝加の空気ボンベに傷が入ってたのを教えようとして…でも大丈夫だろうと黙っていたんです…夜ご飯の時、クラスの全員に、私が朝加の空気ボンベに傷をつけたと!酸素不足で死にかけたなどと言って嘘を言うんですよ?傷なんてつけてない!最初から、あったのに!まりは、そのとき席を外れていたけど実は、ベランダの窓の外からみていた!あの卑怯者!」
まりの母親は唯をビンタする。
「返してよ私の娘を!返せー!!」
唯は
「お返ししますよ?新井さん、お願いします!」
新井さんが持ってきたのは、二つの壺だった。
まりの母親は
「まりー!!!!」
と言って泣き叫んでいた。
朝加の母親は、ずっと朝加の残骸が眠っている壺を抱き締めていた。
朝加の父親は
「やっていいことと悪いことがあるじゃないか…何も殺さなくても…」
唯は、怒りに震えていた。
「殺さないと…殺さないと…永遠に私は…朝加の奴隷だった…そんなの許さない!何で私が、このクソ女のために奴隷にならなきゃいけないの?こんな奴ら、生きてる価値なんてない!世の中のためよ!
それから朝加をこんな性格にしたアンタ達も、最低最悪クソ家族よ!!
私は、家に帰って何回も何回も…アンタ達が来るのが気持ち悪かった!!本当は、大きな声で、私が殺したからコッチに来るなって言いたかった!!!」
言いたいことは、言った筈だ…
そして、
「アンタ達は、新井さんに私を殺せと言ったそうですね…お望み通り、死にますよ?よかったですね?死んだ娘にお会いできて…粉々だけど!アハハハハ!!!それから私も…」
ポケットから毒薬の瓶を見せる。
客席は歓声があがる。
「目の前で、死んでやりますよ!!!」
と言って毒薬を飲み干した。
朝加とまりの両親は、呆然としている。
それ以外は、歓声と拍手で盛り上がっていた。
まりの母親は
「なっ人が毒薬を飲んだのに、この歓声は…」
朝加の父親が客に向かって叫ぶ。
「おい!救急車を呼んでくれー!!!!!
」
唯は、顔色がだんだん真っ青になり血を吐いた。そして、立っていられなくなり倒れる。
まりの母親は、唯の元へ行こうとした。
すると、まりの母親の背後から
「奥様…娘様を殺した宿敵を助けるのですか?あなた達は、依頼したはずです。殺せと…何故ゆえ、助けるのですか?」
と支配人の新井が歩いてくる。
客席から、警察官の盛岡大介が
「お前達を逮っほぼぉっ……」
盛岡の胸に、ナイフが刺さっている。
シェフの森下がタバコを吸いながら、珍しくイライラしている。
「嗅ぎまわってるのをずっと我慢してきたけど…もういいよな?ガタガタうるっせぇんだよ?」
盛岡の身体が、倒れて階段下へ落ちていく。
「ありがとう、森下。私共のショーを邪魔する者は、消しますので…覚えておいてください。あー息してませんから言っても無駄か…?」
観客は、興奮して歓声をあげた。
新井は、盛岡の始末をスタッフ達に頼んだ。
コツコツコツ…
唯は、もう息をしていない。
その両側で元ご学友のご両親が泣かれている。
新井は、唯を横抱きにしながら
「唯様は、被害者でもあり加害者なのです。娘様達を殺したのは、確かに許されないでしょう…しかし、あなた達の娘様達も…ひどすぎます。」
依頼者にたいして、ここまで冷たい新井をみたのは、スタッフ共々いつもショーをみている観客も驚いていた。
森下は、新井に
「支配人…あの親達を殺さなくていいのか?」
新井は、目を伏せ
「お好きにどうぞ…」
と言ってショーは、幕を閉じた。
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