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夢と現実
「ママー!!!!!みてー!!」
私・遠山理子は、振り返り笑顔になる。
我が家のヤンチャな息子・勇輝が公園で、いちょうの葉とどんぐりを持って私に見せてくる。
「このどんぐり、ツヤツヤだね!えー!いちょうの葉のこの色!綺麗!よく見つけたね!」
勇輝は、身振り手振りしながらはしゃいでいた。
「あのシーソーのところあるでしょ?そこの大きな木にあった!!ママ!一緒に見よう!」
「ハイハイ!ちょっと待って!」
勇輝の小さな手を握り、その木へ向かう。
辺り一面に、黄色・赤色・緑色から黄色に変わりかけの葉があった。
「勇輝がくれた葉で、しおりを作ってみようかな?勇輝も、この緑から黄色に変わりかけの葉は、どう?なんか綺麗じゃない?」
「うわぁーなんか半分に分かれててレアカードをゲットしたみたいっ!!」
と大はしゃぎだ。
「じゃあ、一緒に作ろうね!」
と勇輝をみた。
勇輝がいない…えっ?どこ?
どこ?
「勇輝ー!!勇輝ー!!!どこー?」
私は、走って捜した。
けれど…捜しても勇輝がいない…
何で…何でいないの?
周りの景色が、真っ白になる。
なんで…公園に霧が…靄が…かかるの?
「勇輝…ゆう…う…」
自分の足元をみた。
真っ黒で足がみえない…怖い…
「勇輝…ママは、ここだ…よ?」
そして、闇にとらわれる。
ピリリリリリ…
時計がなり、私は…目覚まし時計を停めた。
いつもこの夢をみる。
そして隣で寝ている夫をみると、お腹をだして寝ていたので、そっと布団をかけてあげた。
また、あの夢をみた。
元気だった息子の勇輝が、走り回っている最後の記憶だったと思う。
懐かしいな…まだまだ幼くて、手がかかるけど…とても優しくて走ることが大好きで、人なつっこい笑顔をむけてくれる可愛い子。
朝、この夢をみると…いつもボーとしてしまう。
さて、朝御飯や夫と長女・あすかの弁当を作らないといけない…今は、考えないようにしよう。
てきぱきと、家事をすませ二人を起こし、会社と学校へ行かせる。
自分のご飯をすませてから、病院へ行く。
なぜ病院へ行くか…そこに勇輝がいるのだ。
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