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夢と現実②
いつもの家事を片付けて、病院へ行く。
この病院は、いろいろな患者がいて…特に…私の息子・勇輝のような植物状態でも治療をうけさせてくれるのだ。
勇輝の病室へ来た。
「勇輝~入るよ~!」
と声をかけ部屋へ入る。
そして、私は…思うのだ。あぁ…現実なんだと…
勇輝は、全身に管が入っていて…もう二年も眠っている。
そして私は、少し泣きそうになりながら…ぐっと気合いを入れて、いつものように声をかける。
「おはよ~勇輝!窓を開けるね?ん~ここは、潮風の匂いがして海で泳ぎたくなるね~♪昔、あなたが小さいとき、パパにくっついて泳いでたらパパが足をつって、あなたがパパを引っ張って帰ってきたから…あすかと驚いちゃって…今じゃ家族のお笑いネタよね!」
返事がない。わかってる。
でも…私の中の勇輝が言うの…
“パパは、最近…運動不足だから足をつっちゃうんだと思う。あ~あ、僕も海へ行きたいな~♪姉ちゃんとイルカやクジラをみたいねって言ってたんだよ!”
私の中じゃなくて…自分の口で…声で…話してほしい…二年も寝てるから、掠れてても話してほしい…目を開けてほしい…
窓から、見えるアテーナーロイヤルホテルで泊まって、イルカをみるフェリーに乗って、スキューバダイビングをして、夜は、バーベキューとかして…ダメだ…涙が出てきた。
ダメダメ…この子が心配してしまう。
優しい子だから、
“ママ~?大丈夫~?”
って顔を覗き込んでくる。
涙を拭いながら私は…息子が目覚めることをまだあきらめていない…
「ママー!!!!!」
って大きな声で叫んでほしい。
あなたの声が聞きたい…
どうしてこんなことになったんだろう…
どうして…うちの子だけがこんなことに?
相談した…色んな人に相談した。
でも…相手のご主人が敏腕の弁護士だから、勝てないって…
こんなことってあるの?
許されるの?
私達は、時間がとまっているのに…
あいつらは…ヘラヘラと私達家族を見下している。
許さない…許さない…
……絶対、この手で…
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