事件

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病院に運び込まれた勇輝は、手術をした。 何時間も何時間も待っていた。 そして、夫も、あすかも来て事情を話す。 手術中のランプが消え担当医の人から 「命は、繋ぎました。ただ、脳の損傷が酷く植物状態になるか脳死になる可能性も…」 私は、もう立っていられなくなった。夫とあすかが支えてくれる。 「…そんな…そんな…さっきまで、はるなちゃんを心配して…あぁ…私…私…」 そこから倒れて病院のベットにいた。 気がついた、急いでとび起きた私は、走った…走って勇輝がいるICU(集中治療室)へ行った。 “あぁ…やっぱり嘘じゃないんだ… 本当に…夢じゃないんだ…” 病室の中には、入れないので窓から眺めていた。 勇輝は、頭の包帯を巻いていて右頬にもガーゼがついている。そして全身、管だらけだった。 私は、泣くことしかできない… ただ、もう一度…目を開けてほしい… そう願った。 病院のロビーで手続きをしている時に、泉さんに会い…はるなちゃんのことを聞いた。両手の中指の第一関節がなくなったそうだ。 私も話したくなった…勇輝のことを… 泉さんは、はるなちゃんのことで大変なのに…勇輝のことで泣いてくれた。 容体が落ち着き、ICUから病室へかわった。 病室のドアが開く。すると顔色の悪い夫が入ってきて、どうしたの?と聞く。 「今日家に、有馬さん夫妻が家に来て…勇輝に怪我をさせたことに対しての謝罪と金のことを言われた…」 私は、驚いて手がとまる。 「えっ?お金?」 夫は、荷物を置いて水を飲みながら 「慰謝料は、何円で…とか医療費は、いくらになりそうですか?そんなのばっかだったよ。」 「…蓮くんが勇輝とはるなちゃんを突き飛ばした…例え子供でもさ、犯罪だよね?」 と夫の前で泣く。涙が止まらない… 「お金どうこうよりさ…親がでてくるのもそうだけど…本人が謝らないと…」 夫は、私を抱きしめながら 「そうだよな…知り合いにさ、弁護士がいるから…聞いてみるよ…」 「…うん」 そこから数日後、有馬沙織の夫は、なんでも敏腕の弁護士で、特に揉み消すことが上手らしい…だから今回のことも揉み消されるだろうと言って…はねのけられてしまった。勝訴は無理だと言うのだ。 私は、勇輝を抱きしめながら 「ごめんね…勇輝…パパとママ…戦えることすらできないんだって…」 涙が勇輝の頬に落ちる。 そして、心の中で誓ったのだ… 「法がダメなら、この手で…アイツら家族を殺す…もう…止めることは、できない…」 あなたのために、私は…もっと強くなる… 許されると思うなよ…ゆっくりと…ゆっくりと…ね?
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