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水槽
コンコンというノックがした。
部屋の隙間からだろう…手紙がある。
遠山理子様・有馬沙織様・杉森泉様
本日は、当ホテルのショーを御覧いただくことができます。
チケットをご用意したので、是非遊びに来てくださいませ。
支配人・新井
という手紙が来ていて、理子を捜したがいなかった。
なので、二人でエレベーターに乗りショーを見に行く。
エレベーターの中で、沙織が泉に
「理子さん!どこへ行ったのかしら?まったく迷惑よね!」
泉は、沙織のご機嫌を落ち着かせていた。
するとエレベーターが地下にとまる。
そして開くと、真ん中に大きな水槽が見え何かが泳いでいる。
最前列には、透明な壁が固定されている。
いつもの常連客が、桑山に
「嬢ちゃん!珍しいね!この壁は、何かがあるのかい?」
と聞き桑山は、笑顔で
「何かは、お教えできませんが楽しみにしていてくださいと支配人が!」
常連客は、笑っていた。
「さて、さてショーの時間ですよ?皆さん?」
ステッキとシルクハットをかぶり新井は、ニヤリと笑う。
ステージが、真っ暗になった。
歓声と拍手がいりまじる。
ライトが、真ん中にあたりシルクハットを被った新井が出てきた。
「紳士&淑女の皆様!!当ホテルへようこそ!本日は、演目を発表する前にゲストをお呼び致しましょう。森下!ゲストさんの登場です!」
客からみた右側から、森下に担がれている子供がいる。
子供は、ずっと泣きじゃくっていた。
「蓮!!」
と沙織が叫び森下に
「ちょっとウチの息子に何をするのよ!離しなさい!」
新井は、とぼけながら
「おや~ん?こちらのお母様がいるなんて!あっ!森下!どうしましょうか…水槽に…」
森下も、わざとらしく
「あっ!支配人!俺、ミスったかも?さっきのやつ、このチビの父ちゃんだわ!スマン!サメの餌になっちまってる…あちゃー」
沙織は怒り狂いながら
「はっ?!サメ!!どういうこと?ねぇ…あの水槽…」
客席から
「おい!手首が浮かんでるぞ!」
「あらっ?あれは、顔よね?あらっ?サメが見えたわ!すごーい!」
と大興奮だ。
沙織は、ステージの方へ来て支配人に説明をさせようと詰め寄る。
「このホテルは、人殺しのショーじゃない!訴えてやる!」
新井は、びくともしない。
口元が緩む。
「本日は、サメの餌やりショーでございます!」
歓声と拍手が、止まらない。
「コホン!サメは、何故水槽で飼えないか疑問に思ったことはあるでしょうか?ある一説によると、水槽の中がストレスで死んでしまうのだとか?なので私たちは、考えました。サメが死ぬ前に餌をいっぱいお腹を満たしてストレス発散したら死なないのでは?と。
ショーが始まる前に、このご婦人の旦那様をサメの餌にしました。なぜか…それは…」
左側から、大きな声で
「自分の息子の罪を職権濫用で、もみ消したから!!!!」
理子が叫んだのだ。
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