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水槽②
勇輝…ママね、あなたが知っている優しいママじゃなくなったみたい…
でも、あなたのことは…ずっとずーと、愛しているよ…
例えママが、人間の形をした化け物になっても…あなたは、何も知らなくていいんだよ?
ごめんね…
沙織さんが私に
「アンタ!!そんなところでなにやってんのよ!貧乏人は、私達家族には敵わないって言ってるの!早く蓮を救いなさいよ!何様なの?」
理子の目には、怒りが宿っていた。
一歩、また一歩、沙織を追いつめる。
私は、じっと沙織を見て…そして泣きじゃくってる蓮くんに話しかける。
「蓮くん…勇輝を覚えてる?」
「ママーーー!!うわあぁーー」
蓮くんは、泣き止まないので、私は平手打ちをした。
ビシッ
ショックで、おとなしくなる。
「勇輝はね、あなたが二年前に、突き飛ばしてから…ずっと病院にいて目が覚めないの…それで今日…病院に呼ばれて…生きていくことができなくなったって…お医者さんがいうのよ?不思議よね?勇輝は、たくさんの管に繋がってて手も温かいのに…生きるのが難しいって…ねえ?蓮くん、あなた…どう思ってるの?」
「ぼっぼっぼく、…勇輝死ぬの?」
とても震えた声で言った。
私は、蓮くんの服を持ち
「アンタのせいで、勇輝は、死ぬのよ!この人殺し!!死ね!死ね!償え!お前は、生きる価値なんかない人間だ!!!!!!!!」
言い終えた後、ずっと服を持ち上げたままサメの水槽の方へ歩いていく。
沙織さんは、追いかけようとするが、森下にとめられる。
水槽の中をみた。
サメが…何匹のサメが…飢えている。
蓮くんを突き落とす準備ができ、飛び込み台のようなところで、
「おっおばさん!!ごめんなさい、許してください!僕は、僕は!大変なことをしました!!」
私は、その言葉を聞きながら涙を流す。
「ありがとう、蓮くん。謝罪をしてくれて…」
そっと手放した…
「えっ…おばさ…」
勢いをましてサメたちの餌食になった。
瞬く間に、赤く染まっていく水槽。
沙織さんは、
「蓮…蓮…嫌…私は、息子を…あぁ…いーやー!!!!!!!!」
正気では、いられなくなった沙織。
私は、水槽から離れ、沙織さんの方へ向かう。
沙織さんの前に立ち、
「…私の気持ちがわかってきた?」
私は、新井の方へ目を配らせた。
新井は客席に説明をする。
「皆さん!この水槽を閉じてみてサメの狂暴さをみていただきましょう!ではっ閉じます!」
ウィーンという音をならしながら、水槽の上の部分が閉じ机と椅子が用意される。
閉じた底から振動がする。
そして、私と沙織さんがそこへ座った。
私は泣きじゃくってる沙織さんに
「悪夢は、どう?」
「蓮…あなた…二人が…二人が…私の家族が…」
この顔が見たかった。
でも、まだダメ…許さない…
簡単に殺すのは、面白くないし芸もないわ…
「ところで、どうしてそんなに泣いてるの?いつもの高飛車な沙織さんは、どこへ行ったの?」
ボロボロになっていく沙織さんをおもしろがっている私がいる。
楽しいな~どんな死に方が、いいかな?
下にサメがいるなんて…普通は、怖いけど今は楽しくて…口角が上がってしまう。
私は
「まあ、元気だしなよ?モラハラみたいな自意識過剰夫だったんでしょ?私、みたことあるよ?旦那さんがあなたを殴っていたこと…でも外では、自分のプライドを保つために私達を馬鹿にしてたんだよね?もう楽になっていいんだよ?」
「知ってて…なんで…?」
「フフフ…弱みは、武器になる。どう反撃するかは、私次第…っで今が反撃の時!!」
過呼吸気味になっている沙織さんが
「もう早く殺してよ!!私が悪かった!悪かったわ!ごめんなさい!!」
私は新井さんを呼び、注射器を渡してもらう。
私は注射器をみながら
「よく吠えるね?はぁー蓮くんも、サメのお腹に入って満腹になったかと思うから…そろそろサメにも栄養剤がいるわよね?」
「ちょっと話を聞きなさいよ!!!」
私の座っている椅子の右側に小さな穴があいていて、その注射器の中のものを入れた。
沙織さんは気づかないまま話し続ける。
そして、床にヒビが入りだした。
観客は、サメの様子が詳しくみえるから歓声をあげている。
「あの栄養剤は、なんだ?」
「B級映画みたいだ!」
「サメが元気になっ…」
沙織さんは水槽の中に落ちた。
私は新井さんと移動をした。
沙織さんは、真ん中でサメに囲まれている。いつ食べられてもおかしくないだろう…
私は、魚の血が入っているバケツを水槽に入れる。
沙織さんは、真っ赤に染まりパニックになっているとグルグルと回っていた少し大きめのサメが口をあけて沙織さんを噛み殺した。
他のサメも、つられるように他の身体の部分を食べだしたのだ。
水槽は、真っ赤に染まる。人なのか魚の血なのかさえ判別できなくなるほどに…
私は、ホッとした。
これで終わったのだ。
ふと客席から、泉さんをみた。
え?なんで?どうして、人を化け物のような顔でみるの?あなたも望んでいたでしょ?
私は、客席の方へ足を向け泉さんに話しかけた。
「ねえ?私達の復讐終わったよ…?」
と少し魚の血がついた手で泉さんに握手を求める。
泉さんは
「わっ私は、まさか本当に殺すなんて…」
目を手で覆って笑いたくなった…
「偽善者め…怖じけつきやがって…死ね…」
泉さんの腹に、包丁で刺す。
客席は、大興奮!そこにいるスタッフでさえ、拍手と歓声が響く。
新井さんは、興奮ぎみで
「すばらしい!!ショーは、何があるかわかりませんね!私は、この展開を一生忘れないでしょう!」
私は、新井さんに連れられて
「皆様!!本日の主役、遠山理子様に拍手を!!!」
パチパチパチパチ
「それでは、本日のショーは、これで閉幕致します!ありがとうございました!!」
これで私の復讐が終わった。
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