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告白と①
食事の後、話があると言うとそのまま僕の部屋へと一緒に向かった。ソファーに腰掛けると僕は口を開いた。
「ヘルマン様。本当にここまでしていただいてありがとうございます。すごく嬉しいのですが、これ以上はどうご恩をお返しすればいいのかもわかりません。食事も自分で用意出来ますし、僕にこれ以上のことはなさらないでください。ヘルマン様の負担にはなりたくないのです」
「……私には負担でも何でもありません。昨日も言いましたが、私がやりたくてやっているのです。あなたが気にすることではありません」
困ったように笑いながらも、昨日と同じ言葉を仰るヘルマン様。
「どうしてですか? どうして僕にここまでしてくださるのですか? 同情ですか? 僕が可哀そうな目にあったから? だったらやめてください。僕はもう大丈夫です。同情でこんなことされても僕は困ります…」
「クルト………本当は今はまだ言うべきではないと思っていたのですが」
そう言うとヘルマン様は立ち上がり、僕の前へとやってくると膝を付き優しく僕の手を取った。
「私があなたに色々としているのは同情なんかじゃありません。私はあなたの事が好きなのですよ」
「………え?」
「あなたの事が好きです。恋情です。ずっと恋焦がれていたんです。でもあなたには夫がいた。だから私はこの気持ちを打ち明けるつもりはありませんでした。あなたを困らせるつもりなど一切ありませんでした。
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