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僕はしあわせだった③
僕はいつも早めに出仕しているけれど、それより早くヘルマン様はいらっしゃる。仕事熱心で、次期宰相様になられるんじゃないかというくらいとても優秀な方。宰相様もヘルマン様をとても信頼していらっしゃる。
そんな方の側で仕事をさせてもらっているのは僕の自慢だ。
僕は出仕するとまず掃除から始める。ふきんを取り出し各テーブルを拭き上げる。それから床も軽く掃き掃除をしてお茶の準備。すると続々と皆様が出仕されてきた。
「おはようございます。こちらをどうぞ」
「おはよう、クルト。うーん、いい香り」
「おはよ、俺にもくれるか」
出仕された皆様に用意したお茶を配る。本当はしなくてもいいことだけど、気持ち良く仕事をして貰いたいから僕は勝手にお茶を淹れている。だけど結構評判が良い。皆様は貴族の方だから美味しいお茶を飲みなれてるはずなのに、僕のお茶も美味しいと言ってくださるのだ。
「はい、ヘルマン様もどうぞ」
「ありがとうございます。クルトのお茶を飲まないと今日が始まった気がしませんね」
そして仕事が始まってしばらくすると宰相様がお見えになる。
「「おはようございます!」」
「ああ、おはよう。本日もよろしく頼む」
宰相様は『氷の宰相』と言われている。その理由は非情な事でも淡々となさるから。だけどそれはわざと非情な事をしているわけじゃなくて、そうしなければならないからだ。政は甘くない。周りから何を言われようと国の為にやらなければならないことをやる。そんな宰相様の事を僕は物凄く尊敬している。
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