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告白と②
ですがあんなことがあり、あなたは夫と別れる決意をした。傷ついたあなたをあのままにしておけなかった。辛い思いをした分、あなたには幸せになって欲しかった。そしてそれは私の手でそうしたかった」
「ヘルマン様……」
そんなまさか。ヘルマン様が、僕を好き……?
「本当は今、傷心のあなたに私の気持ちを打ち明けるつもりもありませんでした。それは傷ついたあなたに対して卑怯だと思ったからです。
ですがあなたが私のすぐ側にいてくれるこの状況で、私は恥ずかしながらも浮かれてしまいました。嬉しくてついつい、今までやりたかったことをあなたにしていたんです」
「じゃあ服を買ってくださったのも、本を買ってくださったのも、演奏を聴きに行ったりしたのも…?」
「そうです。あなたを着飾ったり、好きな物を贈ったり、楽しい時間を共有したり。私がずっとあなたとそうしたかったのです。それが思わぬ形で叶ってしまった。私はただただ浮かれていただけの、間抜けな男なんですよ」
そう言って眉尻を下げ、「滑稽でしょう?」とくすりと笑った。
「私は毎日必死で頑張るあなたの姿に好感を持ちました。あんな風にご両親を亡くし辛い幼少期を過ごしたにも関わらず、ひたむきに前を向いて笑っているあなたに恋をしました。それがあなたへ色々と行った理由です。
私はあなたへ気持ちを打ち明けましたが、今すぐに返事が欲しいわけではありません。今はゆっくりと心の傷を癒して欲しいのです。そして傷が癒えてまた誰かと恋をしたいとそう思った時、私の事を考えて欲しいのです。
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