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夫と親友に裏切られて①
僕とヘルマン様、護衛に騎士が2名と税務課の文官2名の計6名で出発した。
目的地の領地まではおよそ1日。一泊宿に泊まって翌朝、領主である伯爵家へと向かった。
「遠いところからようこそお越しくださいました」
「アデルモ伯爵、出迎えありがとうございます」
簡単な挨拶をした後、すぐに調査を開始した。
2日かけて分担しながら帳簿を確認した。すると不備を発見。それからアデルモ伯爵に確認すると、二重帳簿だったことがわかった。それでその説明と処理とで1日。結局3日で今回の仕事は終わってしまった。
「なんだか割とあっけなかったですね」
「そうですね。アデルモ伯爵も悪人になり切れなかったってことでしょうか。帳簿も雑でしたし、こちらとしては楽な仕事でしたね。
……ですが、帰るのが少し名残惜しい気もします」
「? 何か仰いましたか?」
「いいえ。何でもありませんよ」
翌日早朝、王都へ向けて出発。そして1日の旅程を経て僕たちは戻って来た。
10日の予定だったけど、5日で帰ってくることが出来た。予定より早く帰って来たからフリッツはビックリするだろうな。ふふ。
「ただいま戻りました」
「お帰り。思ったより早く終わったようで何よりだ。お疲れ様」
「お疲れ様です、宰相様」
それからアデルモ伯爵の事を宰相様に詳細に報告した。後は税務課の仕事だ。
「では本日はこれで失礼いたします」
「ああ、夜も更けたからな。気をつけて帰りなさい」
「クルト、私もこれで上がりですから家まで送りますよ」
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