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夫と親友に裏切られて③
近づけば近づくほど何を話しているのかよく聞こえてくるようになる。それに合わせて、パンパンと何かがぶつかるような音に、ギシギシとまるでベッドが軋む音。
心臓は痛いほどに鼓動し、何かに首を絞められているんじゃないかというくらいに息がしづらい。
この先は見てはいけない。そう思うのに、僕の体は止まらなかった。
そっと寝室のドアノブに手をかける。もう見なくても、そこで何が行われているのか嫌でもわかるほど、嬌声とベッドの軋む音がはっきりと聞こえている。
ガチャリ。
意を決してドアノブを回して扉を開ける。するとそこには想像通りの光景が広がっていた。
「フリッツ……」
「え……? なっ!? おまっ……なんっ……!」
「うそっ…! ちょっ、クルトはまだ帰ってこないって言ってたじゃないか!」
ベッドの上で、後ろからデニスに覆いかぶさっている夫と、夫の男根を挿れられ善がっていた親友がいた。
「どういう、こと……?」
「こ、これには訳がっ……おいっ! お前、ちょっとどけっ! クルト! 聞いてくれ! こいつに無理やりやらされたんだ!」
「痛ッ! ちょっと! クルトより俺の方が良いって言ってたじゃんか! それどういう事だよ!?」
「ばかっ! 離せ! 今それどころじゃっ……」
僕はもう耐えられなくなってその場から逃げ出した。
知らなかった。わからなかった。2人がこんな関係だったなんて。僕に隠れて、僕をだまして、僕がいない間にこんなことをしていたなんて!
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