47人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
犬を飼っている。
今からおよそ八年前、近所の公園に捨てられていた子犬で、雨の日に拾ってきたからレインという、安直なネーミングの雌犬だ。
レインは凄く臆病な犬で、家族以外の人間には絶対に懐かない。
恐らく、捨てられていた公園で何か怖い目に遭ったんだろう。
そんなヤツだから、家の敷地内に他人が入ろうものなら物凄い剣幕で鳴き喚くのだ。
そういう時は宥めてもすかしても吠え続けたりするから、正直止めてくれ、とか思ったりする。
でもまぁ、そのぐらい吠えれば番犬としては優秀かな?かと思っていたら、どうやら近所の人の話を聴くとそうでもないらしい。
「レインちゃんを見てれば、早瀬さんが家にいらっしゃるかどうか、すぐに分かりますよ~」
レインの奴、家人が居ないときには貝の様にだんまりを決め込んでいると言う。
まるで自分はそこには居ませんよ~、という感じなんだとか。
怖がりで内弁慶もここまでくると本当に筋金入りだな、と思ったりする。
最初のコメントを投稿しよう!