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俺は地元の小さな中学校へと行っていたのだが、同学年は40人程度だった。そのおよそ半分が女であったが、彼女はいなかったと思う。
隣の美女を頭の中で幼くしてみると、美少女になるわけだが……そんな美少女がいたらきっと俺は惚れていたのでよく覚えているはずだ。
転入生とか、そんな記憶に残るイベントがあった覚えもないし……本当に彼女は誰なのだろうか?
「もしかして、私のこと分からない?」
寂しげな表情でコテンと首を傾げながら言う美女にドキンとする。
この"ドキン"には二つの意味があり、一つは図星を突かれて気まずいドキン。そしてもう一つは首を傾げる仕草がかわいくてドキンだ。
「えっと……その、そんなことは、」
素直に分からないと言って謝ればいいのに、それをしないのは下心だ。
これほどの美女だ、お近づきになってワンチャン狙いたいと思うのが普通だろう。なのにここで分からないだなんて言ったら心証を悪くするに決まっている。
「あはは、分からなくて当然だよ。私、昔と比べると随分変わったからね。この前の同窓会、誰も私のこと分からなかったもん」
美女が笑うので俺もつられて笑う。
「中学の時、ずっと同じクラスだった二木 沙羅だよ」
……あー。
……、……………………え? 誰それ?
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