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薄暗い部屋でスマホの画面だけが仄暗く光っている。祐樹は学校から帰宅するなり部屋にこもり、ベッドの上で布団を頭からかぶった。だがどういう訳か、スマホから目を離せずにいる。震え続けるスマホ。送られてくるメッセージたち。
『ゆうきー?』
『まだー?』
『今、どこ』
『はやく』
『なんで来ないの』
『ねぇ』
『お前ふざけんな』
『俺たち親友だよね?』
『親友って言ったよね』
『お前が言ったんだぞ』
『お前が俺にここから飛び降りろって言うから飛び降りたんだぞ』
『お前が俺にここから飛び降りろって言うから飛び降りろって言うから飛び降りろ飛び降りろ飛び降りろ飛び降りろ飛び髯阪j繧鬟帙?髯阪j繧』
確かに、言った。いつもの場所で、いつのもように。いつものように、和馬の腹を殴って、蹴って、言った。「ここから飛び降りろ」と。
まさか本当に飛び降りるとは思っていなかった。気の弱い和馬は、祐樹の言いなりだった。小学校の頃から、和馬は祐樹の下僕だったのだ。
団地の中では会社での上下関係が持ち込まれることが多い。祐樹の父親は、祐樹の父親の上司だった。和馬の親はぺこぺこと祐樹の親に頭を下げていた。スーパーで合えば、和馬の母親は祐樹の母親に頭を下げていた。道端で会えば、和馬の両親は祐樹の両親に道を譲った。
祐樹は和馬より偉いと思い込んだ。そして、和馬は祐樹には逆らってはいけないのだと思い込んだ。共に間違った認識は、両親から学んだのだった。
団地の屋上が、彼らの遊び場だった。お菓子、文房具、最初は小さなものだった。そのうちお金などの金品の要求に変わっていった。それが叶わなければ腹を殴った。顔はばれると面倒だと言う理由で殴らなかった。バレたらまずいことぐらい、祐樹にはわかっていた。
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