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赤星が深いため息を落とす。外は晴れているのだろう、いつもより輝きを増した満月が煌々と光っている。自分たちは男の魔女のため、月の輝きが強ければ強いほど、魔力も増す。それにより気持ちもハイになることがあって、界もその影響で普段の勝ち気な性格がさらに強く出ているのだろう。
「あいつは人間に悪戯仕掛けるのが趣味みたいなやつだからなあ。何だかんだ言って、人間が好きなんだな」
双葉が若干寂しげにつぶやいた。界が心配なのだろう。そわそわと落ち着かない様子で部屋の中を歩き回っている。
「どれ、見てきましょうか」
赤星は子飼いの使い魔を呼び出した。一階に降りて、フローリングの床をはがす。この家には下級の魔物が通りやすいように、隠し部屋などの仕掛けがあらゆる場所に設置されてあるのだ。
はがれた床の下の抜け道から、にゅっと、赤星の下僕のサソリが出てきた。
「へぇ、何の御用で」
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