魔女の息子たち

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 魚沼の心臓が、音を立てて鳴った。魔のものを初めて見た興奮と、人ならざるものへの恐怖と畏敬の念が、混沌となって胸の内を荒らした。  一人が、手にした武器を屋根の上の男に向かって投げつけた。  投げられた武器――簡易ナイフは男とは見当違いの方角へ刺さった。緊張で手もとが狂ったのだろう。魔女狩り同盟は声高々に叫び出した。 「捕まえろ!」 「レーザーガンを出せ!」  魚沼はあわてふためきながらも、腰に下げていたレーザーガンを持ち構える。これは人間には実害がない特殊な物質でできた光線銃であり、見た目は子どもが遊びに使うような水鉄砲に似た形をしている。が、魔女が苦手とする太陽光で蓄えられたレーザーが装備されており、十分に効果を放つ優れものだ。布団をベランダで干して取り込んだ後に匂いを嗅ぐと日向の匂いがするが、それも魔女が嫌がる匂いのため、取り込まれている。
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