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「ふう、毎年のことだけど、こればかりは怖いなあ。心臓ひやひやするよ」
「失念しててすみません。長く生きてると魔女狩りにも慣れてしまって」
時々敬語が交じる彼は赤星=スコーピアスといい、双葉と知り合って百年ほどしか経っていないが、いろいろと話せる間柄の、気の置けない友人である。
(俺は最近やっと上級魔女になれたけど、赤星と界はとっくの昔に上級レベルだもんなあ……)
誰かと比べたところで仕方のないことを、ウジウジ悩んでしまう性分が、双葉にはあった。自分だって人間よりは遥かに長い年月を生きているので、いい加減どんと構えるような気性の大らかさを見せようと、密かに自分磨きを行っている最中である。
「あれ、そういえば、界は?」
先ほどから気配のない人物を探して、赤星に所在を訪ねるも、
「どこに行ったんでしょう? いませんね」
「ずっと家にいたんじゃないの?」
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