魔女の息子たち

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「界の行方を追ってくれないか? 今、人間たちの魔女狩りを混乱させようと外に出ちゃったんだ」 「へぇ、かしこまりました」  サソリは再び床下にもぐると、仲間の使い魔を呼び出したようで、ザザザ、と複数の生き物が家の下を徘徊する物音が響く。赤星はさそり座の魔女だ。ああいう生物と関わりが深く、生まれた時から契約を交わしているという。 「あ……、呼んでる」  赤星の脳波に使い魔のメッセージが送られたらしく、彼はいったん目を閉じて、脳の中で会話を始めた。しばらくして、ふっと目を開け、「うーん」と難しい表情を浮かべる。 「界、満月の影響でかなりハイになっているらしくて、遠くの街まで行ってしまったようなんです。やっぱり迎えに行きますか?」  双葉は「世話の焼けるやつだこと……」と、赤星より一段と深いため息を長く吐いた。
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