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魔女狩りの季節はいつも隠れる場所に苦労する。人間界に行かなければいいだけの話なのだが、現在ここに出稼ぎに来ている身としては、そう簡単に済ませられる問題ではないのも事実で、結果として息をひそめて真夜中の住宅街をひっそりと歩いている。
街灯にさえもびくびくしながら、双葉=ジェミニはさっと自分の家の扉の前に立ち、コンコン、と叩いた。
「赤星、いる? 俺だよ。双葉。ドア開けてくれない?」
「どうしたの? そのまま通り抜ければいいじゃないですか」
「馬鹿っ、魔女狩りだぞ、今は! いいから開けて。鍵忘れちゃったんだよ」
「ああ、そうだった。ごめん、ごめん」
鍵がガチャリと回される音。直後に扉が開き、背が高くほっそりとした体型の優男が現れる。
双葉は辺りを注意深く見渡し、人間が歩いていないことを確認して家の中に入った。
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