『呪い』か何か

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「ねぇ、これって彰くんの?」  焦り始めたのも束の間、牡丹に言われて俺は思わず言葉を失った。そこにあったのは、紛れもなくメロンソーダだった。  メロンソーダというと……さくらが注文していたわけで……となると、幽霊のさくらと会っていたのは本当で……というか、実はいまもそこに座ってたりして…… 『小学生の作文になってたら引っ叩いて教えてやるよ』  そんな言葉が頭の中で聞こえてきて寒気がした。これはまさに…… 「呪いか何か」 「え?」  思わず出てしまった言葉にギクリとする。 「いや、こっちの話!」  牡丹は不思議そうにこちらを眺めている。これ以上聞かれても困るので、俺は早々にメニューを手に取った。 「何頼もっか?」 「あっ……ごめん、私……こういうのすごく時間かけちゃう人なんだけど……」 「いいじゃん。生きてる特権」 「ふふふ、何それ? ……でもちょっと分かるかも。うん、じゃあじっくり考えるね。生きてる特権で」  金平糖の行方は分からない。  でも……全然根拠はないけれど、彼女とまたどこかで会えるような気がする。  メロンソーダは相変わらずぷくぷくと泡を生み出していて、まるでこちらを茶化しているようだった。 【おしまい】
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