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「はい」 私の手のひらに、こーちゃんがチョコやアメをいくつかのせてくれた。 「環奈、甘いもん好きだろ? 今日生徒から貰ったんだけど、環奈に会ったらあげようと思って。食べずに取っておいたんだ」 「あっ、ありがとう」 わざわざ、私のために貰ったお菓子を食べずに残しておいてくれただなんて。 そんなこと言われたら、嬉しくなっちゃうじゃない。 「わざわざ俺のために、悪かったな。環奈、気をつけて帰れよ。それじゃあ」 こーちゃんは私の頭を軽く撫でると、家へと向かって歩きだす。 ……こーちゃん。私、やっぱりあなたのことが好きだよ。 結婚なんてしないで。ずっと私だけのこーちゃんでいて欲しい。 なんて。結婚を控える幼なじみにこんなことを思うのは、いけないことなのだろうか。 冷たい風が、ひゅうと吹きつける。 私はこーちゃんの背中が見えなくなるまで、その場に立ちつくしていた。
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