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二月中旬。先月末から週一登校となって、三度目の登校日。 たまたま今日はバレンタインデーだからか、教室がどことなく甘い香りに包まれているような気がする。 学校の休み時間。私が窓際の自分の席に着き、窓の外をボーッと眺めていると。 「白井!」 「…………」 「しーらーいー」 「…………」 「おい、白井環奈!」 私を呼ぶ声がし、窓から声のしたほうへと視線をやると。 「や、山科(やましな)くん」 クラスメイトの山科賢人(けんと)くんが、少し怒った顔で私の目の前に立っていた。 彼は、テレビで観る男性アイドルのように整った容姿をしているからだろうか。眉間を寄せている顔でさえもかっこよく見えてしまう。 「俺さっきから呼んでるのに、返事くらいしてくれよ」 「ご、ごめん。それで山科くん、何か用?」 「何か用って……」 山科くんが、はぁとため息をつく。 「あのさ。白井、今日お前日直だろ? さっき担任が今日提出の課題、職員室まで持ってこいって言ってたぞ」 「えっ!?」 山科くんが指さした教卓の上には、クラス全員分のノートが山積みになっていた。 「うわ、そうだ。私今日、日直だったのすっかり忘れてた」 私は慌てて立ち上がる。
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