178人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
それにしてもいきなり公園に来て欲しいだなんて、こーちゃんどうしたんだろう。
もしかして、急にブランコにでも乗りたくなった?
いい大人が一人でブランコに乗るのは恥ずかしくて、それで私にも付き合って欲しいとか?
って、さすがにそんな訳ないか。
色々と考えながら少し早足で歩いていると、近所の公園に到着。
こーちゃんは、公園のベンチで座って待っていた。
「こーちゃん。ごめん、待った?」
「環奈。来てくれてありがとう」
私を見て、ホッとした表情を浮かべるこーちゃん。
「どうしたんだよ、環奈。そんな公園の入口で突っ立って」
「だって、こーちゃんには絵里さんが……」
彼には絵里さんという人がいるのに、二人きりで会うのはやっぱりなんだか悪い気がして。
私は、公園の入口で足が止まってしまったのだ。
「そっか。ごめんな、気にさせちゃって。絵里には、今日俺が環奈と会うってちゃんと話して来た。幼なじみとの十年前の約束を果たしたいって話したら、絵里も分かってくれたから」
十年前の、約束?
「だから、大丈夫だよ」
そう言って微笑むこーちゃんの手には、シャベルが握られている。
「え、シャベル?」
訳が分からず、つい首を傾けてしまう私。
最初のコメントを投稿しよう!