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こーちゃん……。 今とは少し違う、まだ子どもらしさの残る文字。 手紙からは、当時のこーちゃんの私への想いが伝わってくる。 こーちゃんって、ほんとに変わらない。 大人になった今だってそう。 『スマイル、スマイル! 笑ってればきっと良いことある』 私が落ち込んでいたら、いつも元気づけてくれて。 『何度もため息ついてると、幸せが逃げていくぞ?』 『俺、環奈には笑ってて欲しいからさ』 そう言って、笑いかけてくれた。 そして今の私よりも幼い、中学生だったときも。 “ 環奈が、ずっと笑顔でいられますように。” “ 幼なじみとして、俺はいつも環奈の幸せを願っています。” 子供の頃からずっとこーちゃんは、私のことを想ってくれていたんだ。私の幸せを、いつも願っていてくれたんだ。 それなのに、私は……。 こーちゃんからの手紙を持つ私の手が、プルプルと震える。 思い返してみれば、私は今までずっと自分のことばかりだった。 こーちゃんの結婚式の招待状が届いたときも、ショックを受けるばかりで。 こーちゃんが絵里さんと一緒にウチの店に来たときも、仲睦まじい二人を見ていられなくて私は逃げてしまった。 大好きなこーちゃんが結婚するのが嫌で。 そのことを受け入れられなくて。 結婚なんてしないで。ずっと私だけのこーちゃんでいて欲しいなんて、子どもみたいなことを思ってしまっていた。 だから私は、今まで一度だってこーちゃんの幸せを考えたことなんてなかった。 私も……本当にこーちゃんのことが好きなら、こーちゃんの幸せをまず一番に願わないといけなかったのに。
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