6/6

179人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
スマホを見ると、こーちゃんからメッセージが届いていた。 【環奈、高校卒業おめでとう!】 こーちゃん。結婚式前なのに、わざわざメッセージ送ってくれたんだ。別に良かったのに。 こんなときまで、こーちゃんらしいな。 私は、廊下の窓の外に目をやる。 こーちゃんの結婚式も、もうすぐ始まる頃だろうか。こーちゃんのタキシード姿、きっとかっこいいだろうな。 今日は私とこーちゃん、二人にとって大切な門出の日。 「こーちゃん。改めて、結婚おめでとう」 ポツリと一人呟くと、ヒュウッと風が吹き窓のそばの桜の木が静かに揺れる。 「あっ」 桜の蕾がほんの少し膨らんでいるのが見え、私は微笑む。 風はまだ少し冷たくとも、春は確実にもうすぐそこまで来ている。 「白井ーっ! 何やってんだよ。早く来ないと、置いてくぞー」 「待って。今行く!」 私は笑顔で、山科くんの元へと駆け出した。 end.
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加