29 全てが順調…とは行かない

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29 全てが順調…とは行かない

次の日、俺はカレー店、チョコレート店、宿屋、畑をざっと見てから、イライザの街に向かった。 もちろん、ラッシャーさんと話す為だ。 「おぅ、エイト! 街づくりはどうだ? 上手くいってるか?」 「はい、まぁまぁですかね。 今日は2つ仕事の依頼を持ってきましたよ。」 俺はチョコレートを手土産に差し出して、そう言った。 「何だ今度は…? お前が来る様になってから、大工仕事が増えすぎたぞ!」 「まぁまぁ、商売繁盛で良いじゃないですか。 今回の依頼は、黄金のハイペリオンの塀の門づくりと… アパートの建設です。」 俺は言う。 そう、俺はいよいよ三重の円の1番外側のリブ北区に居住地をつくろうとしていたのだ。 「アパート…か… なるほど、本格的に都市づくりに乗り出した訳か…」 ラッシャーさんは鋭い。 「そうです。 ちなみにアパートは今回はファミリー向けなので、家族で住めるような広さのあるアパートにして欲しいんです。」 「なるほど… しかし、入居者は居るのか?」 ラッシャーさん。 「チョコレート工場の家族持ちの従業員が毎日馬車や馬で通っていますから、まずはその人達が入居者候補ですかね。」 俺は答える。 「よし。 門にアパートな。」 「おいくらぐらいになりますか?」 俺は尋ねる。 「門が35万ゴールド、アパートなら3階建てで450万ゴールドは貰わんとなぁ。」 「全く問題ありません。 お願いしますね。」 そうして俺は契約を交わし、Earthに帰って行った。 帰ると、久しぶりに地球図鑑を読んでみることにした。 その時、俺の書斎を誰かがノックした。 「誰だ?」 「カイです。 ちょっと大事なお話があります。」 「あぁ、分かった。 リビングで話そう。」 俺はそう答えて、リビングに降りた。 「どうしたんだ? 急な用件なのか?」 俺は首を傾げる。 「アイリーさんをご存知ですよね?」  「あぁ! ガロラス家のご令嬢だろ?  アイリーさんがどうかしたのか?」 「今日の新聞です。 イライザの街に行ったついでに買ってきました。」 カイは新聞を俺に渡した。 「アイリー嬢の三つ星ホテルがアイラッシュ国北の地に建つ! !? これは…」 アイラッシュ国の北と言えば、俺の農業都市Earthとかなり近い距離だ。 「具体的にどこに建つか調べましたが、Earthの敷地からほんの2キロ行った所です。 そして…」 カイは言いにくそうに言う。 「なんだよ…?カイ?」 「アイリーさんは、Earthの隣にエイトさんと同じく都市を作ろうとしているのではないでしょうか…?」 カイ。 「つまり… ホテルを足がかりに… 俺に対抗する… と言いたいのか?」 少し衝撃的な話に俺は言葉を失った。
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