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狐坂家は狐月家よりも格上だそうで、天狗木家の中でも力の弱い風美香だったが、学園ではかなりモテるのだと五十鈴に自慢げに言っていたことを思い出す。
風美香に言い寄ってきた中でも一番、家格が高かった灯火を選んだようだ。
そして灯火が風美香に惚れ込んだことで婚約が結ばれた。
その時には朱音は灯火を射止めた風美香を褒め称えていた。
妖の血を引く家々の女性はどれだけ家格が高いところに嫁げるかに人生を賭けている。
学園でも各家の娘達は婚約者を決めるために熾烈な争いを繰り広げるそうだ。
それは次に天狗木家を継ぎ、強い能力を持った風雅も女性達からの人気は高いそうだ。
そんな灯火は、学園にも通わせてもらえずにずっと屋敷にいる五十鈴を馬鹿にして見下している。
「今はお父様とお兄様が出掛けてるから暇でしょう?だから仕事を頼んでいるのよ」
「ふーん。相変わらず辛気臭い顔だなぁ」
「そうね。地味だし何も出来ないんだもの……厚かましいったらないわ」
風美香はいつものように髪をクルクルと指で回しながら答えた。
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