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廃病院のエレベーター
私、歩けるの。
歩けるのに車いすに乗って誰かに押してもらっているの。顔は見えないし、誰かもわからないけど男性ということはわかったよ。
でも何で歩けるのに車椅子に乗ってるのかな?
なんでかは分からない。気づいたらそうなっていた。そして車椅子で移動することに違和感はない。疑問もない。でも歩けるという意識はある。
私は車椅子を押してくれる誰かと楽しく会話しながら廃道(草とネットに囲まれた砂利の太道)をずんずん進み、 廃病院らしきところに着いたの。
そんなにボロボロでもなくて、一部の壁紙とかは薄ピンクや薄黄色に色付いてて。
小児科なのかしら。美容外科かもしれない。偏見だけど。
明るく寂れている感じ。誰もいない、少し器具や破片が散らばってるけどきれいにも見える不思議な病院。
入院病棟や処置室らしきところを一通り見て回って、何故か動くエ レベーターに乗って鏡にうつる自分たちの写真を撮ろうとしたところで目がさめた。
----------------------ここまで
あぁ、もう少しで顔が見えたのに。
起きて最初に思ったのはこれだった。
フラッシュもついてたから反射してたし、結局見えなかったかもだけど。
分かれ道ばっかだったけど押す人は道がわかるかのようにスルスル進み、 私は何もせずその人の話を聞いて笑ってるだけ。 押してもらうことに負担感はそこまでなく、 ただなんか車椅子から落ちたら怖いなと思いながら楽しく過ごしてた。
あの人誰だったんだろなぁ。
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