彼の名は、ユーマ

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 身体の関係があっただけで、別に本命がいたのか。そういえば私、好きだと言われたこと、なかったかもしれない。  帰宅途中の暗い夜道。月が優しく私を照らすから、ひっそりと泣きながら歩いていた。  ふと、目の前に差し出されたハンカチ。びっくりして足を止め、視線をあげた。暗くて顔はよく見えないけれど、長い髪であることはわかった。 「ありがとうございます」  泣いている私に気づいた女性が、気の毒に思って渡してくれたに違いない。ちょっと恥ずかしかったけれど、遠慮なくハンカチを受け取った。
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