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ーー10月の初旬とはいえ雨の山道の麓はかなり肌寒く、自動販売機を押すボタンは二人共、赤。僕はカフェオレ、キミはコンポタ。
菓子パンの自動販売機で少し多めに買い物もして、地図の目的地であろう霧に霞む遠くの山を眺め運転を続けた。
「なんだか霧が濃くなってきて、これ以上進むのは危ないかも。」
そんな僕の言葉にキミは地図を見ながら残念そうに溜め息をもらした。少し広めの待避所に車を寄せキミの判断を待っているとおもむろに取り出したプラスチックのケースから白い粒を、数粒まとめて飲み込んだ。
「あはは。夢中になっていて午後の薬をのむの忘れてました。」
カーラジオはこの後も雨が振り続ける予報を伝えている。
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