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「先輩の黒眼って、、、すごく茶色いですよね。」
呼吸とまばたきをするのを数回飛ばしていたかもしれない息苦しさは、笑い声と共に視線のやり場を小さなバックミラーへと移すことで解消された。
「これから帰るけどちょっと遅くなるから、家に連絡したほうがいいんじゃない?」
もう子供じゃないんですよとキミはくもりガラスを袖で拭いて空を見上げる。どこか吹っ切れたようなキミの横顔が視界に入ると不思議なことに大粒の雨音が少しリズミカルに聴こえてきた。
「先輩。わたし雨が好きなのですよ。今日は天使に会えなかったけど・・・できれば海がみたい。」
えっ?!狭い後ろ座席に放置していたマップルを広げ、大体の現在地を把握してから太平洋に指を滑らす。
「まぁ寄れないこともないけど。」
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