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ーー暗闇に目が慣れてくるとはいえ、波の音だけが響く空間は少し怖かった。窓を開けた車内から小雨まじりの潮風を感じ、街灯が道しるべのような道路をあとにした。
午前0時を過ぎる頃、僕は眠気のピークを迎えてしまい国道沿いの明るいドライブインで1時間仮眠をとった。
キミは就寝前の白い一粒を口にしてから、スヤスヤと寝ている。
母親からは薬さえのんでいれば大丈夫だと思うので無事に送り届けてほしいと伝えられていた。
朝が訪れる頃にはキミの体調も回復してきたようで、田んぼが多い山里の一本道を案内してくれた。
「この坂道の先がわたしの家。」
自宅まで送ろうと運転していたけど、歩いて帰れるというキミの言葉を信じて車を停めた。
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