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2年前のコトだった。
あのタヌキたちにであう、少しダケ前のことだった。
この町の天気は、晴れをも焦がす『閃光』になった。
すさまじい轟音、それ以降は覚えちゃいない。目を覚ますと変なくさい雨が降っていて。気が点いたら私以外はすべて、ぐちゃぐちゃになってしまっていた。
鉄がひしゃげるという言葉を、その日初めて思い浮かんだ。
生きる当てもなく、向かう先もなく。ただひたすら木偶の棒のようにふらふらとほっつき歩くこと数日、水を飲もうと除いた水面にハゲが映った。三日ぶりに笑った。
助けが来るのでも待ってみようかと思ったが、しばらく立ち入り禁止にするとの情報をラヂヲが叫んでいたので、普通にあきらめた。
あのタヌキたちに出会った。
いざというときに渡されていた特殊な籠は、その閃光から食べ物を守ってくれていた。腹を空かせて目の前のハダカデバザルを化かそうとしてた彼らに、命の強さを、楽しさを感じた私は、食欲はしなかったので、とりあえず大丈夫そうなのを全部あげてしまった。
それから、何となくそれを生きる理由にした。
籠とともに渡された安全かどうかを判断してくれる魔法の杖を手に、その日から、私のタヌキたちへの贈り物を探す日が始まった。
半年が経った。
救助隊が来た。どうやら私以外にも数人、生きている奴がいたらしい。
一日経った。
医者が謝った。どうやら私以外にも殆ど、生きれる奴はいないらしい。
半年が経った。
誰もいなくなった。町からは物好きで残った私以外、全員引っ越した。
一日経った。
葬式の案内がきた。どうやら最後の一人の引っ越し先は随分と上だったらしい。
半年が経った。
この生活にも慣れてきた。しかし最近疲れやすくなってきた。
一日経った。
この疲労にも慣れてきた。しかし最近、なかなか疲れが取れなくなってきた。
半年が経った。
タヌキが引っ越すと言い出した。よかった。正直これ以上誰に引き継ぐあてもなかった。
一日経った。
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